2016年12月30日金曜日

【シングル】雑記:ポケモン対戦の初心者プレイヤー指導方法についての提言

はじめに、この記事はポケモン対戦の初心者プレイヤーへ向けた解説記事では無いことを注意して読んで頂きたい。

昨今、ポケモン対戦はシングルバトル、ダブルバトル、WCS公式ルールのいずれもガチ対戦の人気が年々高まってしており、現在のランダムマッチレーティングバトルのシステムが整備された6年前やそれ以前と比べると全体的なプレイヤーのレベルは格段に高くなってきている。

そんな中、ある程度のレベルに達した中上級者プレイヤー達は初心者プレイヤーや、所謂エンジョイ勢のプレイヤー達へ、彼らの高い志に応えてか、または自身の啓蒙意識的な目的からポケモン対戦のいろはを教える経験をしたことはないだろうか。

そしてその時、初心者プレイヤー達を純粋に勝たせてあげたい中上級者プレイヤー側の気持ちに反して、彼らはしばしば「このポケモン(嫁ポケ)で勝つにはどうすれば良いですか?」と目を輝かせて問うてくる。
中上級者達は苦心した挙句、自身の不得意とするポケモンの活用方法を調べ、また研究し、なんとかそれを活躍させようと自身の研究活動、実践活動に充てる時間を犠牲にし、新たなパーティ構築案をやっと完成させる。それは良いものの、当然そのパーティ構築への理解度は作成者も真っさら状態であるため、すぐさま初心者プレイヤーに個体を準備させていざレート戦だというときには想定外に勝てず、初心者プレイヤーからは感謝半分、期待外れな落胆半分の顔を見せられて「教えることの難しさ」を痛感することになるだろう。

それもそのはず、現在のポケモン対戦は上位戦になればなるほど知識はもちろん、極めて高度な戦略性、戦術性が求められ、半端な嫁ポケを選んでしまっては勝ち越すことすらままならない世界であり、また教える立場である中上級者側も、初心者の嫁ポケを採用したパーティ構築の理解度、練度を高める必要があり、それを後回しにしてしまっては教えることさえ難しいからだ。

では、どうすれば彼らを読者達のようなガチ対戦の猛者へと育てることが出来るのだろうか。
これから、かつて私が中上級者の境目で苦心し、対戦のコーチングを受けたときの経験や私自身が人に教える側になった時の反省などを踏まえて、これからまさにポケモン対戦を初心者に教える立場にある読者達へ、ささやかな提案をしたいと思う。



Ⅰまずは「対戦で勝つことの純粋な楽しさ」を知ってもらうために

ポケモン対戦は勝敗が付くゲームである。つまり、そういった面では競技性の高いテニスや陸上などのスポーツ、将棋や囲碁などと変わらない。したがって、そういった「競技ゲーム」への適正も初心者の成長にある程度作用する。だからもともとその初心者がファイナルファンタジーなどのRPGゲームやモンスターハンターなどの協力型アクションゲームなどの対人的な勝敗が無いゲームを好んでいた場合、まずは競技ゲームで強くなるために必要な「負けず嫌い」な性格を目覚めさせることから始めなければならない。
その理由は、ポケモン対戦は常に勝てるゲームではなく、どんな上級者でも勝率70%を超えれば十分となる、いわば必ず負けるゲームであるからだ。そこで負けて悔しがり、次こそは勝とうと躍起にならなければ成長はない。負けてこんなものかとすぐに匙を投げて別の安易に楽しめるゲームに逃げているような享楽的な性格から、一流の勝負師へと育てる必要がある。
と、ここまで書くとポケモン対戦はなかなかにストイックで険しい世界だと思われ、敷居を上げてしまう恐れがあるため、具体的に「勝つ楽しさ」を教える方法を提案しよう。

・その時期に最も強いとされるトップメタのパーティ構築を使わせる
勝つ楽しさを教えるには実際に勝つことを何回も経験させてあげるに尽きる。例え初心者が対戦する様を見守り、逐一立ち回りを指導して半ばラジコン状態になろうとも、彼ら自身が勝つことの体験をさせることに意義があると考えている。
そのため教える側である読者らの情報網を駆使し、インターネット上で公開されていなくとも上級者達の間で話題に上がるまさにその時期最も強いパーティ構築を使わせてあげよう。逆に言えば、読者らの中にそういった最強のパーティ構築を探し出せない人がいるのならば、その人ははまだ初心者にポケモンを教えることは難しいと考えている。つまり、初心者プレイヤーにはとにかく勝たせてあげればよいのだ。
もちろんその勝つことの定義も必要ならここで「レートで100戦回して勝率65%以上を目安とした中長期的な勝ち越し」と仮に定めておこう。これくらい勝てれば、勝敗の波の中で大連勝して調子の良い時期を経験させられる可能性が高い。そして同時に多少負けても数をこなせば取り返せることも同時に教えるとこも出来る。
そうした実戦に即したコーチングの中での細かい指導方針についても後々触れようと思う。

・読者ら中上級者プレイヤー各々の最も信頼できる最強のパーティ構築を惜しみなく使わせてあげる
もし、読者らの中に極めて自身の腕に自信があり、実績も申し分なく扱うノウハウを大量に蓄積したパーティ構築があるならば、それを使わせてあげるに越したことはない。
仮にその初心者が指導者の流儀に染まろうとも、強くなれればそれで問題はない。指導者が特定のパーティ構築の扱いに長けたいわばスペシャリストなプレイヤーであれば、もちろんそのパーティ構築についてのノウハウは他の追随を許さないだろう。そうした細かい一つ一つのノウハウを全て分かりやすく伝授できれば初心者プレイヤーは指導者の追体験をして同じ様に強者への階段を駆け上がることが出来るだろう。

・戦略、戦術が比較的簡単なパーティ構築を使わせる
初心者プレイヤーは、もちろん読者ら中上級者プレイヤー達に比べてポケモン対戦の知識が浅い。それは環境把握、ポケモン単体考察の知識、パーティ構築の知識、立ち回りの知識など全てにおいて。
そんな知識の差をすぐに埋めることは初心者本人の努力次第ではあるが困難であることは確実だ。そんな中、指導者となる中上級者プレイヤーも指導がしやすく、初心者が動きを覚えやすいパーティ構築を選ぶのも非常に良い方法である。
そんな扱いやすいパーティ構築の特徴を以下に記す。
-カバドリ、バンドリ、トノグドラ、ペリグドラ、壁展開、トリパなどの基本的に高火力で押し通して制圧するタイプのギミック軸の構築
-交代戦、サイクル戦を出来るだけ排除したグッドスタッフ、積みサイクル、みがまもループへ陥れるなどのコンセプトの構築
以上のようなパーティ構築はどれも高度な交代戦を必要とせず、構築そのものの強さを全面に押し付けて勝つ戦略であることが共通している。まずは勝たせること、そして対戦する中でいろんなポケモン、パーティ構築、戦況を経験させてあげよう。そうすればその中で次第に知識も増えていくため、初心者が勝って楽しみながら、交代戦を理解する次のステップへと導きやすい。

以上のようなパーティ構築を指導者側で選定し、初心者にはまず勝たせてあげたい。人間は誰しも勝負事で何回も勝てば脳の報酬系が活性化して楽しくなる。そしてまた次も勝ちたいと貪欲になる。そうした好循環へと導いてあげよう。

しかし、ここで読者ら指導者に注意してもらいたいのは「褒めて伸ばす」指導方針を徹底することだ。初心者はポケモン対戦に関して右も左もわからない、そのため仮に立ち回りを叱責されたとしても恐らくなぜ叱責されたかも理解出来ていないことが多い。そんな人が逐一立ち回りなどを叱責されれば精神的に追い詰められるか理不尽に思い反発し、次第にはポケモン対戦への興味はなくなってしまうことだろう。
ここは指導者側が初心者に歩み寄り、真摯に向き合って丁寧に勝利まで導いてあげることで、指導者と初心者との人間的な信頼関係も構築出来、それに伴い初心者の知識の吸収率も向上する。
また、仮に指導者側までもが迷う課題に直面したとしても、初心者と一緒に解決策を考えてあげよう。そうすると初心者は今後自身が課題に直面したときに指導者がどうやって解決したか、つまりは問題自体の解決方法を学んでいるため、自己解決力が養われる。

まとめると、指導者に求められる資質はポケモン対戦での実力や知識だけではなく、生徒に対する事細かなサポート精神と丁寧で詳細な解説力も必要となってくるのはお分かりだろうと思う。
昔からよく言うではないか、天才肌の教師は凡才の分からないことが分からない、と。だからこそ、優れた指導者とは生徒が問題を分からない気持ちまで理解しようとする姿勢を持っているものだと考えている。



Ⅱ勝つことの楽しさが分かったら、次は戦略、戦術を研究する楽しさを知ってもらう

ポケモン対戦の醍醐味は、実戦だけではない。多くの上位プレイヤー達が日々パーティ構築や単体考察、立ち回りの新手を研究していることから、「勝つための準備」も重要なポケモン対戦の楽しみ方の一つだ。

その楽しみ方を体験させてあげて、ゆくゆくはパーティ構築することの楽しみ方を教えてあげよう。つまり、ここまでは残念ながら初心者プレイヤーが考えたオリジナリティあふれる構築案は上手く長所を褒めてあげつつ実際には使わせないように促すべきなのだ。また蛇足ではあるが、初心者プレイヤーの嫁ポケが一般的な上位プレイヤー達の想定する俗に言うキャラランクの最上位から3番目以内にあれば採用しても十分勝てるパーティ構築が可能なため、それで勝たせて喜ばせてあげられるならそうするに越したことはないとも述べておこう。

そして、パーティ構築の楽しみ方は他のプレイヤー達との意見交換、議論にもあると考えている。つまりお互いの知識を補完したり発案したり教え合うことの楽しさを実際に議論して体験させてあげよう。

仮に初心者が「このポケモンはなぜ今上位プレイヤー達の間で評価が高いのですか?」との質問があったとする。ならば指導者はまず「なぜだと思う?君なりの考えをまず聞かせて欲しい。」と問い返すと良い。そうすれば初心者の環境把握の度合いも分かり、なぜそのような質問をするに至ったかの原因も分かるためだ。
一般的に評価の高いポケモンにはそれなりの評価が高い理由がある。その理由は上位プレイヤー同士の議論ならば意見の差異はあろうとも長所と短所のそれぞれを互いに理解した上で共通の認識で議論することが出来る。つまり言語化が難しい、その強さの評価基準を初心者との議論の中で上手く養えるものだと考えている。

その「強さの評価基準」これは一般的にはもはやセンスとまで言える段階の非言語的な概念だ。
これを初心者に養わせるのは並大抵の指導方法では叶わないことだろう。
私は、それを初心者と指導者との活発な議論の中でこそ効率的に養わせることが出来るものだと考えている。



Ⅲ指導者も初心者に教えることで自身の理解度の向上が期待される

指導者も完璧な人間ではない。初心者への指導中にも様々な課題が頻発し、指導者自身も考え込むことも多いだろう。また指導者自身は勝てると思っていた戦略、戦術が通用しない局面も発見することが出来、結果的に初心者に対戦を教えることは指導者側にもメリットがあるのだ。

そうした相互の好循環でポケモンをより深く、より楽しく対戦できるようなWin-Winな関係を構築することが望ましい。



この記事を読んだ中上級者達が初心者へポケモン対戦を指導することがあったとき、その時の一助になれば、この記事を書いたこれ以上の栄誉はない。



◇参考図書

・G.ポリア 著 『いかにして問題をとくか』


・岡本 浩一 著 『上達の法則―効率のよい努力を科学する』